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A5判並製・縦書・口絵8P+384頁
定価:本体2400円+税
ISBN:978-4-909710-04-8 C0020
刊行時期:2018年7月予定
ジャンル:近現代史・社会学
装丁:宗利淳一

 

マーシャル、父の戦場

​ある日本兵の日記をめぐる歴史実践

大川史織 編

『マーシャル、父の戦場』『タリナイ』で大川史織さんが山本美香記念国際ジャーナリズム賞・奨励賞受賞!

 

 

父ナキ オマイタチモ 何ニカニ 不自由デセウガ
イタシ方ナシ 之モオ国ノタメダ。
元気デ、ホガラカニ オイシイモノデモタベテクラシテ下サイ

戦場で死ぬとはどういうことなのか?
戦争は庶民の一生をどう変えるのか?


73年前、南洋の孤島で餓死した日本兵が死の前日まで綴っていた日記。
次々と死んでいく戦友たち、徐々に衰弱していく自分自身。
絶望的な状況下で、男は何を思い、何を書き残そうとしたのか?
各世代の多彩な執筆陣が集結、〈想像力〉を駆使して戦地の死に迫る。

大林宣彦監督インタビュー収録!!
「読むというより体験してほしい。できるだけ想像力を働かせて」

内容紹介

楽シイ時モ 苦シイ時モ
オ前達ハ 互ヒニ 信ジ合 嬉シイ事 分チ合ヒ――


1945年、南洋のマーシャル諸島で多くの日本兵が餓死した。
そのなかのひとり、佐藤冨五郎が死ぬ直前まで綴った日記と遺書は、戦友の手を経て息子のもとへ渡り、73年の時を超えて解読されることになる。
そこには、住み慣れない島での戦地生活、補給路が絶たれるなかでの懸命の自給自足、そして祖国で待つ家族への思いが描かれ、混乱と葛藤のなか、自身も死へと向かう約2年間が精緻に記されていた。
〈70年以上前に・南洋で・餓死した〉日本人といまをつなぐ、〈想像力〉の歴史社会学。

目 次

口絵
はじめに/大川史織 
巻頭特別寄稿  名もなき人びとへの想像力/大林宣彦

第1章 冨五郎をめぐる歴史
近代日本と南洋群島/波多野澄雄

第2章 南洋と日本をつなぐ―日記解読のはじまり
父の日記と父の島/佐藤勉
偶然の出逢いが日記をつなぐ/仁平義明

第3章 冨五郎日記に導かれて 
わたしの〈タリナイ〉/大川史織

第4章 ドキュメンタリー映画『タリナイ』誕生 
あなたに関係のある島/藤岡みなみ
ゴジラ少年の南洋へのまなざし/水本博之

第5章 兵士としての冨五郎の心理 
従軍日記・遺書に見る日本兵の死生観/一ノ瀬俊也

第6章 冨五郎日記を体験する
佐藤冨五郎、39年の生涯
日記全文翻刻
年表・地図
戦友リスト
戦没状況比較集計
 
第7章 古代史と現代史をつなぐ――日記解読のおわり
「佐藤冨五郎日記」を映し出す/三上喜孝

第8章 マーシャルをめぐる世界と私
誰が海を閉じたのか?/グレゴリー・ドボルザーク
マーシャル諸島と核、環境/竹峰誠一郎
マーシャルへの片思い/末松洋介
マーシャルへの手紙/森山史子
マーシャル追想──米国大使との銀輪談議/安細和彦

第9章 歴史をつないでいく意志 
日本と南洋/寺尾紗穂
映画的歴史実践/三上喜孝


あとがき/大川史織

著者プロフィール

大川史織(おおかわ・しおり)
1988年生まれ。神奈川県出身。高校生の春休み、マーシャル諸島で聴いた歌に心奪われる。2011年慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、3年間首都マジュロで暮らす。ドキュメンタリー映画『タリナイ』(2018)初監督。国立公文書館アジア歴史資料センター調査員(非常勤職員)。

映画『タリナイ』のサイトはこちらから。

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