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近頃なぜか岡本喜八――反戦の技法、娯楽の思想

山本昭宏 編

四六判並製・カバー装・縦書・320頁
定価:本体2500円+税
ISBN:978-4-909710-13-0    C0074
2020年9月刊行
ジャンル:映画・社会学・メディア論
題字:岡本喜八自筆より集字
装丁:宗利淳一

 

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「戦争は悲劇だった。しかも喜劇でもあった。戦争映画もどっちかだ」
痛烈な戦争体験を抱え、フマジメな余計者として「カッコイイ戦争」に抗い続けた岡本喜八。
喜八は誰ととともに何と戦ったのか。
その遺伝子はどこに受け継がれているのか。
不穏さを増す近頃、「人と人の争い」を描き続けた岡本喜八の表現が再び光を放つ。

内容紹介

なぜいま、岡本喜八なのか。


現代文化の源流という以外にも、岡本に注目したい理由がある。それは、戦中派の再評価に関わっている。戦中派とは、大正末期から昭和初期に生まれ、思春期から青年期にアジア・太平洋戦争を経験した世代を指す。二〇二〇年代の現代日本において、戦中派が、政治状況、論壇状況、文化状況に直接関わることはほとんどなくなった。思想信条を問わず、戦争体験に裏打ちされた思想や行動の存在感が薄れて久しい。それは、ときに韜晦や屈折を含んではいたが、戦争への批判を生み出す豊かな源泉だった。岡本喜八の場合は、末端の兵士や民衆を擁護し、戦争指導者たちを批判し続けながらも、人を惹きつける戦場の危険な魅力を描いた。(「はじめに」より)

目 次

はじめに


第1章    映画監督・岡本喜八の誕生――「カッコイイ戦争」のインパクトとその背景/山本昭宏
第2章    「フマジメ」な抗い――喜劇へのこだわりと「正しさ」への違和感/福間良明
第3章    「余計者」にとっての「明治」と「民衆」――時代劇から問う近代日本 /佐藤彰宣
第4章    誰とともに何と戦う?――「内戦」を描く岡本喜八/野上 元
第5章    キハチの遺伝子――喜八映画の影響関係と戦争体験/塚田修一
終 章    青い血とコロナウイルス――軍事とメディアによるスペクタクル/山本昭宏


あとがき

 

編者プロフィール

山本昭宏(やまもと・あきひろ)
神戸市外国語大学准教授。一九八四年、奈良県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専門は日本近現代文化史。主著に『核エネルギー言説の戦後史 1945~1960――「被爆の記憶」と「原子力の夢」』(人文書院、二〇一二年)、『核と日本人――ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ』(中公新書、二〇一五年)、『大江健三郎とその時代――「戦後」に選ばれた小説家』(人文書院、二〇一九年)など。

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