緊急事態TOKYO1964――聖火台へのカウントダウン
夫馬信一 著
A5判並製・カバー装・縦書・304頁+カラー口絵8頁
定価:本体2800円+税
ISBN:978-4-909710-18-5 C0021
2021年6月刊行予定
ジャンル:日本近現代史・オリンピック
迫り来る感染爆発、激動の世界情勢……。
「あの年」もまた、TOKYOは危機に直面していた!
内容紹介
今日では「成功体験」とされる「あの大会」に、開催を脅かす緊迫の数か月があった?
最終日ランナーたち10人、ブルーインパルス隊員、記録映画キャメラマン、北朝鮮女子陸上選手と生き別れの父親、海外からやって来た客人たち……。1964年世紀の祭典を彩ったさまざまな人間模様と知られざる衝撃の事実を、豊富な未発表写真や貴重な証言を交えて綴る異色ノンフィクション。
目 次
プロローグ 2020年3月20日、航空自衛隊松島基地
ジス・イズ・トーキョー2020!
「逆風」吹き荒れる中の到着
「今回」の最終聖火ランナーは誰か?
パンデミックという名の「逆風」
最後に控えていた「伏兵」
第1章 1958~1963年 東京オリンピック前史
1・東京に聖火を取り戻せ
聖火最終ランナーの先駆者
あの時と同じドイツの地で
2・シルクロードの呪い
ローマの日本人たち
世界のイトウからクロサワへ
3・ジャカルタの嵐
魔女の季節
「千里馬」の報、千里を走る
「年齢性別は一切を問わない」
コラム1・真の聖火第一走者
第2章 1964年1月~6月 オリンピックの年
1・キャメラを回せ
白いワーゲンのマイクロバス
世界に響く『抱きしめたい』
「オリンピック映画」本格始動
2・TOKYOへと草木もなびく
チャンスの予感と災厄の暗示
洋の東西で「オリンピック映画」
3・「あと半年」に迫る中で
「直前の予行演習」だった新潟国体
沖縄の第一走者は日本の第一走者
西ドイツ隊と聖火コース走破隊
コラム2・知られざる東京五輪映画
第3章 1964年7月~8月 「最終日」ランナーたちの招集
1・躊躇している段階ではない
セイロン島から海を超えて
水面下で動き出した「最終日」リレー
翼よ、あれが五輪の灯だ
2・めでたさも中くらいなり
郷里に届いたハガキ
勝利を手放しで喜べたのか
ミッションは道半ば
3・聖火ランナーって何だろう?
戦火広がる中を
過熱するスクープ合戦
旅立ちの日
コラム3・聖火台への階段
第4章 1964年8月~9月 感染爆発の危機
1・聖火リレーが始まる
「最終」ランナー決定の裏で
白地の旗を掲げた朝
ただ一言「グッドラック」と
2・首都圏に迫る悪夢
「異変」は水面下で起きていた
「これはコレラじゃないのか?」
準備は粛々と進む
3・事態は収束に向う
「秘密」でいられる幸運
間の悪い「平和の使者」
コレラ鎮圧は成功したか
コラム4・五輪成功祈願のマラソン一家
第5章 1964年9月 聖火リレーとカオス
1・ハイテンションな日々
危機また危機の香港~沖縄
すべては熱気の中で
黒子に徹した男たち
2・各自東京をめざせ
村祭りの日
高みから望む景色
左手は不浄なるもの
コラム5・ネパールの聖火リレー
第6章 1964年10月1日~ 9日 北の国から
1・荒波を越えて
何から何まで本番さながら
千客万来の日々
「聖火遊び」はもうおしまい
2・開会式前日
時間だけが空費されていく
大混乱の中で一瞬の再会
雨は降っていたか
第7章 1964年10月10日 開会式当日
1・私は東京大会を生きた
抜き差しならない事情
毎日が日曜日だ!
2・祭壇を灯すために
世界はひとつ、なのか?
その空の彼方には
エピローグ 1964年東京大会後
あとがき
編者プロフィール
夫馬信一(ふま・しんいち)
1959年、東京生まれ。1983年、中央大学卒業。 航空貨物の輸出業、物流関連の業界紙記者、コピーライターなどを経て、 現在は書籍の編集・著述業。 主な著書に『幻の東京五輪・万博1940』『航空から見た戦後昭和史』『1964東京五輪聖火空輸作戦』(以上、原書房)、『渋谷上空のロープウェイ』(柏書房)など。