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執筆者の写真みずき書林

この2カ月の幸福/不幸


自分ががんだという告知を受けてから、2か月余りが経ちました。


この間、自分は不幸であったか。と問うならば、そうではなかったと思うのです。

むしろ、幸福であったと言ってみたい気持ちすらあります。


もちろん、痛みや苦しみを感じている瞬間は、そんなふうに思う余裕はありません。

毎日薬を飲まなくてはいけなくて、化学療法のあと数日間は気分や体調がすぐれないサイクルが必ずやってくるというのも、喜ばしい状態ではありません。

以前の、何の屈託もなく体調がよかった頃を思い浮かべると、ほんとに嘆かわしい、がっかりする気分になります。

以前ほど長時間、疲れることなく動き回ることはできなくなりました。


でも、この2か月、僕は嘆き悲しんで泣き暮らしたわけではなく、不幸のどん底にいたわけでもありません。

むしろ生活の質は上がったと言ってもいいのかもしれません。

(この病気になると、QOLということばをやたらに耳にするようになります)


本当にたくさんの人から、励ましや応援をいただきました。

退院したら会いたいと思っていた友人たちにも会うことができました。

このことをきっかけに、ずっと会っていなかった旧友たちと再会することもできました。

今やれている仕事のありがたみを再認識しました。

未来への希望として、いくつかの出版企画が動きはじめました。

愛犬だって仲間に加わりました。

家族はずっとここにいてくれます。


普通に暮らしていたら特に意識もしないまま流れすぎてしまうであろうこういったことを考えられるようになったのは、病気になったからです。


それは一面では幸福なことなのかもしれません。


嘘くさいやせ我慢に聞こえるかもしれませんが、案外本心でそう思っています。

少なくとも、そういうふうに考えてみる余地はあるかもしれません。

そういうふうに言い聞かせてみる価値はあるかもしれません。

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