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執筆者の写真みずき書林

タイムトラベラーのジャンプ力――藤岡みなみさんのエッセイ


『本の雑誌』5月号。

藤岡みなみさんが、連載「タイムトラベラーさんいらっしゃい」のなかで、『なぜ戦争をえがくのか』をとりあげてくださいました!


いうまでもなく、藤岡みなみさんと大川史織さんは、高校の同級生であり、映画『タリナイ』の共同制作者であり、親友・盟友同士です。


エッセイの冒頭は、約10年前、大川さんがマーシャルで暮らしていたころ。

「髪をショートカットより短く切り、別人のように日焼けしたシオリ」が一時帰国したときに、喫茶店で会ったときのことが綴られます。

大川さんが語るマーシャルの信じられないような話を、藤岡さんは夢中でメモします。


この頃はまだ映画もなくて、もちろん『マーシャル、父の戦場』も『なぜ戦争をえがくのか』もありません。



その喫茶店のくだりの続き、第2段落の終わりと第3段落のはじめの部分を引用します。


「……シオリからマーシャル諸島共和国の話を聞いたとき、戦争のイメージがセピア色ではなくなるのを感じた。私が学ぼうとしなかった歴史は、遠く離れた南の島ではそもそも終わっていなかった。

タイムトラベル専門書店では、時間SF以外の本も取り扱っている。この春、新たに当店の定番本が増えた。大川史織編『なぜ戦争をえがくのか 戦争を知らない表現者たちの歴史実践』だ」



この改行の間に、10年間のジャンプがあります。

その10年の間に、大川さんと藤岡さんは映画を作って公開し、大川さんは歴史実践の本を2冊作り、藤岡さんは本当にたくさんの活躍とともに、タイムトラベル専門書店をスタートさせました。


そういった出来事をぽんと飛び越えて、友だちのシオリが本の著者・大川史織に変身するこの改行の芸は、さすがタイムトラベラーのジャンプ力だなぁと感じ入りました。


藤岡さん、ありがとうございました!

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