4月26日に東京・池袋で開催された、
「おそらくこの世でもっとも影響力があるアーサー王二次創作作品についての大座談会―フランス流布本サイクルを中心に語る会」(おそアサ会)
の詳細レポートをアップしました。
小宮先生による力作です。
イラストあり、中世絵画あり、系図ありと盛り沢山だった当日のスライドをふんだんにご覧いただけます。
ここだけでしか見られない、山田南平先生の書き下ろし漫画があります。
椿侘助さんのランスロットとガウェインのエピソード漫画も楽しい。
このおふたり、山田先生はプロですから当然としても、〈間〉が上手いんだなぁとあらためて感じました。
文字情報の説明・ツッコミ・ノリ・ボケといった役割を明確にして、それらを適切に配置するのがとても上手で、読んでいて間合いがキマッています。
どこを活字にしてどこを手書きにすれば、過不足ない説明とおかしみが両立するかという判断も見事です。
僕は漫画はあまり読んでいないので、その文法についていろいろいうことはできません。が、コマ割りや文字の配列を工夫することで生まれる、いい感じのスピード感や絶妙な間合いは、漫画の文法を知悉している方々なのだなと素人目にもわかります。
逆にいえば、我々が中世の挿絵をみて感じるぎこちなさやヘンテコさも、この間合いやスピード感といったことばでなんとなく説明できそうです。
異時同図法というのがありますが、流布本イラストも、微妙にそれなんですね。しかも5分10分という微妙なレベルで異時同図しちゃってる。だからどうしようもなくスピード感がなくて、間が抜けて見える。ガウェインだって、こんな格好で水飲んでいるときに目の前に立たれたくはなかろう。隙だらけである。水飲み終わって顔を挙げた瞬間、「近!」って言っただろうな。
あと、以前から素朴な疑問なのですが、昔の人は喜怒哀楽とか表情といったものを描こうとはしなかったのでしょうか。
殺し合うはずのふたりの緊張感のなさ。
接吻を交わす恋人同士のつまんなそうさ。
剣を振り回す王様の躍動感のなさ。
人も馬も、みんな三白眼。
人間の喜怒哀楽は古今東西変わらないと思いますし、そのエモーションを描くのはなにより優先されそうな気もするのに、このシュールで無調なノリは何なのか。
そういうのって、当時の人びとはどういうふうに受け止めていたのでしょうか。
この画で萌えたりしていたんでしょうか。
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