2018年2月18日。
ちょうど1年前の今日、僕はあるホテルでの会食に招かれていました。
招いてくださったのは、佐藤勉さん。
マーシャル諸島ウォッチェ環礁で日記を遺して餓死した佐藤冨五郎さんのご子息です。
この日、僕は元マーシャル大使の安細さん、『タリナイ』に登場していた森山さんと末松さんにもはじめてお目にかかりました。もちろん、監督の大川さんも一緒でした。
この日、僕は皆さんの前で、冨五郎さんの日記を中心にした本を出しますという簡単なスピーチをしました。
そのときはぼんやりとしか考えていなかったのですが、それから1週間後(早。苦笑)、僕はひとりで出版社を立ち上げて、独立することに決めました。
さらに5カ月ほど後に、その会食にいた方々をはじめたくさんの人たちが執筆した『マーシャル、父の戦場』という本が出来上がることになります。
あれから1年が経って、今日は終日、『いかアサ』という本の最終チェックを行っていました。
この本は、独立することにした直後に、不思議な縁で僕の手元に渡された企画でした。
先週の金曜日からずっとふたりの編者の先生とともに自主カンヅメになり、ちょうど1年がかりで準備した本が、いよいよ編集を終えました。
この本にもまた、山田南平先生をはじめ、多くの方々が参加くださっています。そして皆さんがとても真剣に取り組み、面白がってくださっています。さらに特筆すべきことに、刊行前から多くの読者の方が楽しみにしてくれている気配を感じます。
今日の夕方、最後の作業が終わろうとするとき、僕は(そしておそらくは編者のおふたりもまた)安堵とともに、喜ばしい時間を失う予感のようなものを感じていました。
あれ。この感覚は。と思い返してみたら、ちょうど半年前に、『マーシャル、父の戦場』を出した直後にもこのような喜び交じりの喪失感を感じていました。
ここまでは何としても走り抜けようと決めていた本を出し終わり、達成感とともに、方向性を見失うかもしれないという恐れもありました。
でもいまは、おそらく心配はないと経験的にわかります。
いまもなお、そのとき出会った人たちとの関係は続いていますから。
それはこれからも続くのでしょう。
These days continue.
マーシャル諸島とアーサー王伝説。
それぞれに方向性のまるで異なる魅力をもったこのふたつを結び付けている人は、僕以外にいないかもしれません。
僕にとっては――まもなく創業1周年を迎えます――とてもありがたく、やたらに楽しく、素敵な才能をもった人たちに囲まれていた1年を記念する、大切なお話になりました。
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