岡田林太郎の妻です。
いつもこのBlogを楽しみにしてくださり、ありがとうございます。
かねてから病気療養中でした岡田林太郎が、去る7月3日の3:00ごろ自宅で息をひきとりました。
享年45歳でした。
一般的にみれば、早すぎる死といわざるをえません。
ですが本人は、短い人生だったけれど悔いはないとさっぱりした口調で申していました。
これもひとえに、夫と縁をもってくださった皆さまと充実した時間を過ごしたおかげです。
さまざまなかたちで夫に心を寄せてくださったこと、心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
夫はこのBlogの記事に基づいた、自分の本を執筆していました。
仮の書名は『憶えている――40代でがんになったひとり出版社の1825日』(コトニ社にて刊行予定)。
この書名には、夫自身がこの5年間のことを憶えているという意味があると同時に、自分がいなくなった後も憶えていてほしいという願いが込められているのだそうです。
どうか林太郎さんのことを憶えていてください。
よかったら、たまに話題にしてあげてください。
きっとあの、ちょっと子どもみたいな表情を浮かべて喜びます。
人がいく時、残された人には何が残る。岡田さんは私に信用を残しました。それは、お互いにいちいち言葉では確認しないけれど、ちょっとした行動や小さな身体の動きで確認するもの。彼と私は信用し合っていたと思う。今日あらためて彼を見て、彼の死を実感して、悲しくなりました。岡田さんは自らのできるところまで精一杯、頭と身体を動かし、最後まで諦めず、向き合い、立ち向かい、見つめ、そして勇敢に(非常に稀有なことに)、その時を迎えたことと存じます。彼は編集者らしく自己より他を活かし、物事を俯瞰して捉え行動しておりました。特に「みずき書林」時代でそれは澄まされていたことと存じます。彼から得た信用で私は生きていかねばなりません。それは時に重大なプレッシャーとなりますが、どんな時も私を勇気づけてくれるものとなるでしょう。岡田さん、大変お疲れ様でした。また会いましょう。