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執筆者の写真みずき書林

日本のファンタジー文化における西洋中世のイメージの源泉と受容


ちと風邪気味だったのですが、早朝の新幹線に乗って京都へ。

立命館大学衣笠で開催されるシンポに行ってきました。

先にもお伝えしたとおり、このシンポには小社で刊行する本の編者のおふたりが発表されます。

この数週間で、書名を決めたり本文レイアウトを決めたり装飾文字ができたりといろいろ動きがあったので、おふたりの顔を見に。


岡本先生の発表は全体のイントロダクションにもなるようなものでした。ゲームなどをはじめ、いまの我々が当然のように受け入れている文化状況の中に、中世の世界観がいかに根付いて息づいているかというお話。ファンタジー世界の「剣と魔法の世界」がいかに歴史上の中世とは別物であるかを説きつつ、それがいかにして新中世主義という創造・想像的な動きを生んでいるか。


続いて、松本涼先生の北欧神話のヴァルハラの描かれ方と現代的な受容について。

戦士たちの天国としての戦いと酒の楽園であるヴァルハラが、数々のイメージを生んだこと。とりわけ幸村誠『ヴィンランド・サガ』の登場人物たちによよってどのように現代日本に紹介されているか。日本の読者がシンパシーを抱く対象である主人公トルフィンにとって、ヴァルハラとヴィンランド(北米新大陸)は、どのような感覚で架橋されているか。


それを受けて最後は、ドラクエとアーサー王伝説の関係についての小宮先生の発表。

ドラクエ最新作に散りばめられたアーサー王伝説を想起させる意匠には、いまの日本がそのようなファンタジー的な世界観をどのように換骨奪胎してきたかが、おそらくは制作者の意図をも超えて、いわば時代の表象として描かれているのではと思わされます。


その後、登壇者のみなさんは、参加者との懇談の時間もたっぷりとって、交流をされていました。


岡本先生はスライムベス、松本先生はアイスランド語、小宮先生は黒地に白で「おきのどくですが ぼうけんのしょは きえてしまいました」と書かれたものと、それぞれに発表合わせのおしゃれ装備Tシャツだったのも、なんというか他の学会ではあまりしない趣向ですよね。

(なお岡本先生のゼミ生は色違いの同じシャツ)

(そういう小ネタを常に仕込んでいるのが、この界隈の先生方の楽しさです)


本の告知チラシも配っていただけましたし、これからの本の編集に弾みをつける一日でした。


しかしまあ、この時期の京都の人の多さよ。

京都駅行きの帰りのバスはえらい満席でもみくちゃにされ、おかげで京都のおばちゃんとフランス人のカップルとうんざり顔で会話して、仲良くなってしまいました。


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